十和田茅による30の戯言(24)  (03/08/06更新) [目次に戻る]

 24. 3K

Q「3Kって何だっけ?」

A「きつい・汚い……ええっと? 忘れちゃいましたぁ」
C「労働条件だろ? あとひとつは……と」
K「色々あるよね。危険とか、くさいとか、暗いとか。『危険』がよく知られてるかな」

R「経営の3Kは別にあるけどね」
Q「どんな?」
R「交通費・交際費・広告費、よ」
S「せやせや。削らなあかんもんの代名詞や」
C「うわ、きっつ! 営業に死ねってのかー!」
K「うーむ。確かに削ったほうがいいものの代名詞だけど……最初のふたつ、営業畑の人間には厳しいな。僕は経理だけど」
A「広報担当にもキツイですぅ。それに広告費って……そりゃお金かければいいってもんじゃないけど……でもきれーな広告って増収入になるじゃないですかぁ」
S「そらあかんわ。この時代、安い広告でっかい収入や。最近はシビアやもん」

R「すいません、タン塩ひとつ」
C「生ビール……えーと全員ビールでいいよな? 生中6つ」
A「あーっ! あたし、青林檎チューハイにしようと思ったのにぃっ。じゃあねえ……ジャーマンポテト!」
K「僕、枝豆」
S「渋いやっちゃなー。ほな、わし、唐揚げな。皆も食うやろ」

Q「昔、はやった3高ってやつも一種の3Kだよね」
R「あったあった。高学歴・高収入・高身長」
C「高身長なんて言い方するか?」
K「さぁ……。最近はみんな発育いいし、大学出の奴も多いし、学歴と身長だけなら高いやつはごろごろしてると思うけどね」
C「お前、嫌味か? こーの東大出が」
A「えッ、Kさんってそうだったんですかぁ?」
K「気にしないほうがいいよ。大学なんて社会に出たら関係ないし」
R「そうよね。東大を出てもいまやただの中小企業の経理担当なのよね」
K「ええ、そうですよ。でも僕、自分の人生楽しんでますから」
S「おまえ、そないなこと言うから嫌味やいわれんねんぞ」
R「あら。Sさんこそ、能ある鷹は爪を隠すって方ですものね」
A「そうなんですかぁ? Sさん、関西の方ですよねぇ?」
C「そうなのかい、人事担当R女史?」
R「私に聞かないで」

S「おーい! おねーちゃん、頼んだもん、まだ来てへんねんけどー!」

Q「つまり、3KってアルファベットKにまつわる何かみっつの条件がそろったらみんな3Kっていうのかな?」
A「そうじゃないんですかぁ?」
C「そういやさ、こないだお客さんでこんな話を聞いたことがある。高齢化社会の3K」
R「どんな?」
C「経済・健康・孤独。年寄りが不安に思うものだってさ」
S「えらいこっちゃ。そら他人事やあらへんわ」
A「あたしはぁ、この中で一番若いから健康っていってもピンとこないんですけどぉ」
C「この中で最年長はSさん?」
S「お局のR女史、おゆずりしましょか?」
R「やめてくださいよッ。怒りますよ」
S「おお怖。……で。せやな、昔は年金で生活できたもんやけど、今はそうも行かへんしな。健康はいうに及ばずや。年いったら誰でも体力落ちる、目は落ちる、怪我しても治りにくいからますます動かんようになる……」
K「独居老人の孤独死も問題視されてますしね」
C「うちの取引先の社長にもいるんだけどさ。男が連れ合いなくすと急に老けるって。逆に連れ合いなくした奥さんは、生き生きするんだってさ」
A「こわ〜」
R「あらそう? 分かる気がするけど」
K「R女史、あなたの発言のほうが怖いです……」
S「全員が全員、そうともいわれへんけどな。ま、孤独っちゅうのは人を不安にさせるわな」

Q「なんだか3Kというとマイナスのイメージが強いね」
R「そうね。Qくんは総務にいて、なにか思うことある?」
Q「さあ。3K……キッチンのついた部屋三つの住居かな」
全員「(フリーズ)」
Q「ごめん。寒すぎたね……」


店員「はい、お待たせいたしました〜。タン塩ひとつ、枝豆ひとつ、ジャーマンポテトひとつ、唐揚げ盛り合わせに、生中6つですねーーー?」

とある居酒屋での会話。
料理を頼み損ねたのは誰でしょう。
                                      UP↑


 [前へ] [次へ>>]
 [最初のページに戻る]
 [トップに戻る]
 モノカキさんに30のお題( 04.07.10 リンク切れ)----http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Tachibana/8907/mono/index.htm