十和田茅による30の戯言(08)  (02/12/08更新) [目次に戻る]

 08. 境界

 どれだけ触れても
 どれだけ繋がっても
 それでも私達は別個の個体
 決してひとつにはなれないの

 皮膚という境界線
 溶けてしまえばいいのにね
 そして私はあなたになる
 あなたは私になる
 どろどろに溶けて私達
 やっとひとつになれるのよ

 同じ夢が見られるかしら
 同じ気持ちになれるかしら
 体が繋がったら
 心も繋がるのかしら
 ありえないわね、そんなこと
 私達はどうやっても別個の個体

 境界線を越えられない
 あなたは私になれないし
 私はあなたになれないの

 だから、この境界線をなくしてね
 なくなるまで愛してね
 私はあなたになれないけれど
 あなたは私の中に入って来てね
 体はいつまでも境界があるけれど
 心はどろどろに溶けるまで
 愛してね 抱いてね うんときつく

 境界をなくしてね
 私を愛してね

   *

「猟奇殺人ですか」
「ええ、全身の皮膚が剥がされていたそうですよ」
 犯行現場にて、刑事二人の会話。
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 モノカキさんに30のお題( 04.07.10 リンク切れ)----http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Tachibana/8907/mono/index.htm