【勿忘草】本編既読向けのあとがき

まずはここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。
【勿忘草】には本編と比べいくつかの矛盾点(というか、説明しなくてはならない裏設定)がございます。

これは03年6月15日から8月31日まで開催された番外編競作企画に参加した作品です。テーマは「この花の名前は」、モットーは「未読の方が読んでわかる話」。
そういうわけで【勿忘草】は本編とはあまり関係がなく、完全に一話完結ものとして書き始めました。本編との整合性を説明しはじめるとかえってややこしくなるので、ひとつの話として説明の必要がないと思ったところは景気よくカットしたのです。
ところが蓋を開けてみると、読んでくださったのは簡易アンケートによると未読の方よりも既読の方のほうがはるかに多い。あせりました。「こりゃ説明しとかんと」と思い、疑問には一切合切こちらでお答えすることにしました。

以下、ネタばれですのでご容赦ください。


Q1:ヒスイは子供の頃、こちらの世界に来ることができたのですか?
A1:そうです。
本編第四章を読了してくださっている方はご承知でしょうが、ヒスイの能力は赤ん坊のころからすでに開花しています。
成長にあわせてふらっと、それこそ近所に遊びにいくような感覚でヒスイはよくこちらの「世界」に落ちていました。あんまりよくちょろちょろするようになったので【勿忘草】後、銀の天使がサラと相談してヒスイの能力を封印します(期間限定、16の誕生日にリミッター解除)。

Q2:幼いヒスイがこちらの世界に来たとき、予言の星は光らなかったのですか?
A2:「予言の星」は、ヒスイが一定時間「世界」に居座ったときに光ります。だから【勿忘草】では銀の天使がせかして元いた世界(現実世界)に追い返そうとしています。
アイシャが拾ったとき(第一章)もコゥイが拾ったとき(第五章)も、星が光るのはヒスイが来たその日の夜なんですよー。
なぜ登場したその時点で光らないのか?
……時空間移動能力者という存在は過去にもいけるからです。過去に行くたび目印が光ってたら大変ですがな(苦笑)

Q3:青い髪の妖魔(というか、あの人)とヒスイってちっちゃい頃に会ってたんですね。
A3:ええ、私も知りませんでした。
(ああッ、石をぶつけないでくださいッ)
これの元ネタ(?)は<翡翠抄>プロトタイプでして、当時ヒスイの設定は人買いに売られた娼婦の少女、青い髪の妖魔は……だいたい今のままで。その頃の少女と少年妖魔が出会うシーンが今回の【勿忘草】冒頭、消えかかっている妖魔を特別な力を持った少女が助けるといった感じだったんですよ(^^;)
まーさーか、設定変えた今頃復活してくるとは思わなかったネタです。
そういうわけですから本編には今後一切、これに関したネタは出てこないと思われます。あくまで彼女と彼にとって、初めて出会ったときは第一章のあのシーンとなります。

Q4:えっと、文中で青い髪の妖魔が、本当の名前はもう誰にも名乗らないといっているのですが……?
A4:あはははははははは(滝汗)
そこをつっこまれるとは思いませんでした。ええ、ちゃんと理由はあります。
妖魔は自分の名前を知られることをひどく嫌います(というのは第五章現在の本編でも【勿忘草】でも説明済みかと)。ですから本当の名前は隠して、通称を名乗ることがあるんですね。真名を変えた名前を名乗ったり(サイハも本編で一度、砕破ではなく細波と名乗ったことがあります)、あるいはまったく違った名前を名乗ったり。
つまり青い髪の妖魔が現在、人間バージョンで名乗っている名は……ぶっちゃけ隠し名なんです(^^;)
「未読の方が読めるように」との企画の制限もあって本編で使っている名をストレートに名乗らせるわけにもいかなかったというのもあるんですが、隠し名という意図もあったりして。本編中で青い髪の妖魔が「真実の名」とやらを名乗ることは絶対ありません。またヒスイが思い出すことも一生ないでしょう。
なんで断定できるかって?(TT)
奴の本名を作者が考えてないからです。<おい!

Q5:途中で『    』ってありますけれど、誤植?
A5:違います。
そこには本来ヒスイの名前が入るんですが、青い髪の妖魔くんはこのとき、もうその名さえ思い出すことが出来ないのです。

Q6:あとがき(Q1)で「銀の天使とサラが相談の上」って、ヒスイが生まれてからも連絡取ってたんですか?
A6:うーん、そう、ですね。
まめに連絡をとっていたわけではないんですが、接触はたまにありました。
というのも、こちらの世界にやってきた幼いヒスイを送り返すのは銀の天使の役目だったからです。<ちびヒスイはそこまでコントロールしきれない。
ホウのいる世界(Aと仮定)とサラのいる世界(Bと仮定)は銀の天使でもそうしょっちゅう行き来できるものではないんですよ。行き来できるのはBが限りなくAに近づいたときだけ(これが序章時)。ところがヒスイにはそんなこと無関係ですから、銀の天使はヒスイの能力に便乗した場合のみBに行き(※これまた夢と夜という限定付きですが)サラの精神体と接触が可能になります。
SF的な説明するなら、地球(A)と火星(B)の軌道がもっとも近づいたときロケット飛ばして行き来するのが銀の天使。対しヒスイは二つの星が近づこうが遠ざかろうが、無制限ワープが使えるのでいつでも行き来できるのです。
ヒスイの能力が封印されてからは銀の天使とサラが接触したことはありません。
なお、ヒスイをBに送り届けたあとの銀の天使は、同じくヒスイの力でAに押しやってもらって帰ります。


以上、この話において何か疑問点がありましたら遠慮なくご指摘ください。
こちらのあとがきにて追加させていただきます。
というわけで、ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

   十和田 茅 拝
   (2003.09.10)


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