<帰依>
 

ここは音がしない。
ただ、悲鳴だけが聞こえる。
ここには音がない。
ただ、嘆きだけが聞こえる。
それを、彼が変えた。

「ここはどこだ」
深い声だった。
音の無い空間に初めて響いた音。
僕には答える術がない。
だから、ただ、首を横に振った。
男は僕に近づく。
そのあまりにも強い目線で僕を見る。
そして、微笑んだ。
「お前はここにいたいのか」
問いかけ。
とても心地いい声。
僕が触れた初めての音。
導かれるように僕はまた首を振った。
「ついてくればいい」
言って、男は僕の腕を掴んだ。
力強く、優しく。
吸い寄せられるように僕の体が動く。
音の無い空間に男の足音だけが響く。
踏みにじられて、悲鳴が上がる。
それに僕の体が押さえつけられる。
「怖れるな」
厳しい声。
それでも僕は動けない。
男はしばし僕を見つめた。
そして、僕を抱えた。
「助けてやる」
そう言った。
だから、僕は男の肩に手をかけて頷いた。
歩調に合わせて体が揺れた。
 

そこは奇跡のように眩しかった。
男の声以外の音があふれていた。
とても、とても優しく懐かしい音。
「帰るんだ」
男はそう言った。
そして、僕から腕を離した。
僕は堕ちていく。
視界が蒼に染まる。
男の姿は見えなくなった。
ただ、波の音だけが残った。
僕は許された。







あとがき
えーっと、だから何なんだって突っ込まないでね☆
イメージとしては、僕が吉良朔夜、もしくは蔵馬。男が無道刹那、もしくは幽助(爆)
要するに、人間の子供殺してのり移っちゃった僕って感じ♪つまり、贖罪。

ダメダメだ(苦笑)
 


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